「式! 僕と結婚してくれ!」
「はい?」
家に帰ってくるなり、幹也は家に居た私にそう言ってきた。
「だから・・・」
「いや、言葉は理解はした。だから、二度も言わなくていいよ」
私が聞いてなかったと思ったのか、もう一度言おうとしていた幹也を制する。
「理解はしたけど、突然どうしたんだ?」
本当にどうしたのか? なぜいきなりプロポーズを? いや、まあ・・・嬉しいけどさ・・・
「君のことが好きなのと、その・・・と、とにかく! せめて、今は婚約だけでも!」
慌てた様子でそういう幹也。何かおかしくないか?
「さっきは結婚してくれって言ったくせに、何で急に婚約なんだよ」
「えっ? いや、その・・・」
質問してみたら、なんだか挙動不審になったな。
「もしかして、橙子になんか言われたのか?」
もしそうなら、私は奴を・・・とりあえず礼金は幾ら渡そう?
「いや、橙子さんは関係ないんだ。その・・・」
「なんなんだよ? はっきりしろよな」
うじうじする幹也にイラつくが、そんなところも可愛いと思っている自分がいたりする。
「その・・・」
どどどどどっ!
「? 何の音だ?」
なんか、ヌーの移動みたいな音が・・・
「や、やばい! 来た! 式! ちょっと来て!」
そう言って、私の手を掴み、走り出す幹也。
「な、なんだよ!? 急に! いきなり人の手を・・・」
「ごめん! 今はそれどころじゃないから! あとで話すから今は黙って走って!」
文句を言おうとした私の言葉を遮る幹也。なんなの? いったい? でも、こんな幹也もかっこいいなぁ。
どどどどどっ!
「・・・・・・・! ・・・・・・!」
「?」
ヌーの移動の音のほかにも、なんか聞こえるぞ?
「えっ!? ちょ!? 速過ぎないか!? さっきの足音からしてだいぶ遠いと思ったのに・・・」
幹也は愕然とした顔で言う。ヌーの移動みたいな音は足音だったのか。なるほど。・・・誰の?
「今から下りたんじゃあ・・・家に戻るよ! 式!」
「ちょ!? 幹也!?」
幹也は私の手を強引に引いて、家の中に入っていった。
「いったい何なんだよ・・・」
今、私と幹也はクローゼットの中にいる。狭すぎて幹也と私の距離はほぼゼロだ。・・・幹也の匂いがする・・・
「静かに!」
小声で私にそう言う幹也。
「だか・・・」
「しっ!」
声を出そうとした私を制して、幹也は息を潜めるよう言った。それに反論しようとしたときに・・・
バン!
幹也の家のドアが何者かに強引に開けられた。
「な、なんだ?」
「式、今は息を潜めて」
何事かと思い、クローゼットの隙間から部屋を覗く。そこには・・・
「兄さんはどこかしら?」
ものすごい形相で幹也を捜す鮮花がいた。
「どういうことだよ。これ」
鮮花はベッドの下を探ったり、風呂場を探ったりしていた。それはもう恐ろしい顔で。
「ごめん。鮮花がいなくなったら話すよ」
「マジで聞かせてもらうからな」
いやもう本当に。なんで鮮花がこんなことになってるか、本気で問いただせてもらう。
「ん?」
一通り、探し終えた鮮花が、こちらを見てきた。
「ひいいい!」
幹也は小声でそう言い、全身が震えていた。
「・・・・・・」
未だにこちらを見ている鮮花。しかし、
「・・・式の家かしら」
そう言って、この家から出て行った。
鮮花が出て行ったのを音で確認し、クローゼットの外に出る。
「ぷはーーー! ・・・生きた心地がしなかったよ・・・」
幹也はそう言って、床にうつ伏せになった。
「さて、なんで鮮花があんな感じになっているのか、俺にもわかるように話してもらおうか?」
安心しきっている幹也には悪いが、訳を知りたいので問いただす。
「えっと・・・その・・・」
「黙秘すんなよ。さっき、お前が話すって言ったんだからな」
そう言うと、幹也は子犬のような顔で困っていた。やば、この幹也、すごく可愛い。
「うん・・・じゃあ、話すね・・・」
幹也から聞いた話はこうだ。幹也が鮮花に、私と婚約すると言ったら、先ほどの様子になったようだ。それで、幹也は怖くなって、逃げ出してきたらしい。
「なんていうか・・・情けないな」
「うう・・・」
いや、ほんと情けないな。でも、そんな幹也も(以下略
「それで、なんで結婚を?」
これが最大の謎である。原因が私との婚約なら、先ほどのは火に油を注ぐ行為だろう。
「先に結婚してしまえば、鮮花も認めてくれるかな、て思って・・・」
「いや、おかしくないか? それ」
ちょっと呆れた。
「とりあえず、オレも一緒に行ってやるから、鮮花に会いに行くぞ」
いつまでも、義妹(鮮花)に嫌われているのはあまり嬉しくないからな。ここらで、私と幹也の仲を認めさせてなければ。
「し、式・・・」
幹也が差し伸べた私の手を掴もうとした瞬間、
「やはり、ここでしたか。兄さん」
すぐそこで、そんな声が聞こえた。
「あ、鮮花・・・」
「ふふ。兄さん。よくもまあ、散々逃げてくれましたね?」
ニヤリ
そんな擬音が聞こえてきた気がした。
「よっ、鮮花」
「あら? いたんですか? 式」
挨拶したら、今気づきました、見たいな顔でそう言いやがった。
「ちょうどいいです。この際はっきり言わせてもらいます」
いや、お前いつもはっきり言ってるだろ。
「私はあなたと兄さんの婚約など認めません!」
せん、せん、せん・・・
「・・・なんで?」
疑問に思ったので聞くことにした。
「なんでって・・・決まっているでしょう! あなたみたいな男女なんかに兄さんを任せられるわけないじゃないですか!」
「あら、男みたいな喋り方が原因なら、私はこっちの喋りをずっと使っていくわよ?」
そう言って挑発する。
「ぐぬっ!? しゃ、喋り方じゃなく、態度とか・・・」
「女らしくしなさいと言うなら、女らしくするけど?」
私は手を口元に当てながら鮮花に言う。
「ぬぬぬ・・・!? な、なにはどうあれ、私は認めません!」
「もういいよ、お前に認めてもらわなくちゃ幹也と結婚出来ないわけじゃないし。ほら、幹也。オレんちいくぞ。親父とかに紹介しなくちゃいけないし」
「えっ? あ、うん」
何を言っても、鮮花は認める気がないとわかったので、無視して私の家に幹也を連れて行くことにした。というか、実は私は父さんとは話は付いている。けど、父さんは一度、娘の彼氏に「娘はやらんぞ!」とか言って、殴ってみるシチュエーションをやってみたいらしい。なんというか、物好きなことだ。殴った瞬間に切るが。
「ちょ!? 待ちなさい!」
「どけよ。これから、幹也を親父に紹介しに行くんだから」
「そ、そんなことは私が許しません!」
そう言って、ヒトカゲの皮で編んだグローブを身に付ける鮮花。結局こうなるか。
「なら、お前を倒して行かせてもらうよ」
「させるかーーーーー!」
幹也の部屋で私と鮮花の戦いが勃発した。
結果、私の圧勝だったが、幹也が戦いの余波で、どこかへ飛んでいってしまったことで、うやむやになってしまった。
「・・・次はいつ、プロポーズしてくれるのかな?」
そう言って、私は家に帰っていった。
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あとがき
何を書いてるんだ? 私は。意味不明な作品です。オチもわけがわかりません。ついこの間、ピキーン、と頭に浮かんだネタをそのまま文ににしたらこうなりました。自分でも意味がわかりません。こんな作品ですが、投稿することを許してください・・・では、この辺で。MHPでした。
管理人より
この話を読ませてもらって改めて空の境界読み直しました。
いや〜いい味出ています。
ドタバタとしても楽しませて貰いました。
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